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親戚の子を預かった話

  • Posted by: moe
  • 2014年1月24日 10:49
  • その他

親戚に

「娘をしばらく預かってもらえないか?」

と頼まれたのは夏休み直前の7月10日。

その女の子の名前は裕子、今年中学2年生。
身長は160cm位で髪はロング、中学生特有の華奢な手足。
クリクリっとした猫のような瞳が特徴的。

35で脱サラして始めたペンションがやっと軌道に乗り出した矢先に女房をなくした独身の男に、幾ら親戚とは言え一人娘を預かってもらえないかというのだからビックリした。

理由は虐めと不登校だった。
詳しい事は娘が話さないから解らないが、どうやら部活で上級生と上手くいかなくなり、ソレが元で2年生になってからというもの、学校へ行かない日が増えていったらしい。
最近では部屋で一日中パソコンばかりしていて部屋から出てきても母親と喧嘩ばかりだという。

「幸い夏休みに入るし、少し家とは違う環境で暮らしてみれば心の整理になるかもしれない。」
「しかしですね・・・。」
「それに、一昨年の夏、君のところへ家族旅行に行った時、娘がまた行きたいと言っていたし。」
「娘も君のところならと言ってるんだ・・・。無理なのは重々承知してるんだが頼むよトシ君。」
「娘はただ働きでも何でもペンションの仕事で使ってくれて構わないから。」
「勿論宿泊費とお礼も別に出させて貰うよ。」
「そうは言われましても・・・。」

娘を思う親心だろうか・・・ソレでなくても、なんとも昔から強引な所のある人なのだ。
しかしこの強引さが仲人として死んだ嫁との縁を作ってくれただけに拒否できない・・・。

「これを機会に少しは働く事や実社会の厳しさを知って、少しは勉強に身が入ればいいんだ。」
「軽くゲンコツくらせるくらいかまわないから、何とか頼むよ。」
「解りました・・・。」

電話口の本当に困ったような顔が思い浮かび承諾する事にした。

という事で夏休みが始まる直前に我がペンションに一人バイトの女の子が住み込みで働く事になった。

「お久しぶりですおじさん、夏休みの間よろしくお願いします。」

スポーツ部だけあって挨拶は確りしている。
元気良くハキハキしていてとても不登校とは思えない感じだ。

「良く来たね、まあ本当に手伝って貰うにしても、まだお客さん達が来るのは明日以降だから。」
「しばらくはゆっくりしているといいよ。」
「はい。」

玄関で挨拶を交わし荷物を部屋に運ぶ。

「わぁやっぱり・・素敵・・・。」

裕子は部屋を見て呟くように言う

「もうすぐお昼だからそれまで周りを散歩でもしてくるといいよ。」
「あの、おじさんはコレからどうするんですか?」
「うん、色々準備があるから買出しとかして、昼食の準備、仕込みに掃除とかかな。」
「あの、じゃあ私手伝います。」
「でも、いきなりでいいのかい?」
「はい、そのつもりでしたから。」

バイトのように使ってくれといわれたものの、不登校の子を正直当てにしてなかった私は彼女の意外な言葉に少し驚いた。

「それじゃあ頼んじゃおうかな。」
「はい。」

という事で2人で四駆に乗ってふもとへ買出しへ行く事に。
車の中では不登校の事にはあえて触れず、一昨年の思い出話を中心に話した。

「前きた時凄く素敵で楽しかったんです。」
「だからずっとこういうところに住んでみたいなって憧れててw」

助手席に座りながら流れる林の景色を眺めて興奮気味に話す。

「それは良かったwでも時々遊びに来て数日過ごすのと、1年中そこで生活するのは全然違うと思うよ?」
「どんな風に違うんですか?」

なんとも興味深々なキラキラの眼で見つめてくる。

「そうだな・・・例えば夜TVが面白くなくても近くにツタヤは無いし。時期によっては雨ばかり、ソレが終わると虫が大量に発生したりね。冬は雪で何日もふもとに降りられなくなる事だってあるんだよ。言ってみれば、遊びに来る人たちはそういう山の生活の本当に美味しい部分だけを食べて帰っていくんだよ。」
「そうなんだ・・・。」

これからの1ヶ月あまりが少し不安になったのか少しトーンが下がる。

「ははwでもこれからの1ヶ月はまさにその美味しい部分だから安心していいよw」
「はいw」

何時もの通り馴染みのお店で食料や注文していた荷物を受け取る。

「あれぇ?トシちゃんどうしたのぉめんこい娘っこ連れて。」

何時もの感じで店のおじさんが話しかけてくる。

「はい、夏の間親戚の子が遊びに来てくれてるんですよ。」

そう言って裕子のほうをみると少し照れた感じでペコッとお辞儀をする。

「へぇ。そりゃそりゃ~よかったなぁ。」

暫く裕子の歳と聞いたりして世間話をした後、ホームセンターで掃除用具や洗剤など日用品を買う。
田舎の小さい店ばかりなので行く先々が知り合いのようなもので、その全てで裕子は注目された。

「あれぇトシちゃんえらい若い嫁さんろらったのぉ。」
「ははw違いますよw親戚の子ですよw」

とか

「あれ?こんな大きな娘さんおった?」
「いやいやw」

本気なのか冗談なのか解らないお年寄りの発言を適当にかわしていく。

「おじさん有名人ですねwびっくりしちゃった。」

帰りの車の中で裕子が言う。

「ははwココの生活も長いしね、田舎では自然に協力しあうことも多いんだ。こんな田舎の山の中、シーズン以外はお客もまばらな寂しい所に暮らしていても、人は結局一人では生きていけないからね。」
「・・・。」

その言葉になにか思う事があったのかなぜか裕子はソレっきり。
ペンションに戻るまでただ黙って、窓の外の木々が流れていくのを見ていた。

ペンションについてからは食事の支度を手伝ってくれた。
まずは簡単な野菜の皮むきから、何時もは包丁を使う所。
裕子にはフィーラーを渡そうとしたら

「あの、せっかくだから包丁でやります!」

という事で危なっかしく包丁を使う裕子をハラハラしながら見守る事になった。

スピードは遅いがまあまあという所か、ソレを確認して自分の作業に取り掛かる。
手早く他の野菜を処理していくその手さばきを裕子が見守る。

「わぁ・・・。」
「この位は毎日やってれば誰でも出来るようになるよ。焦っても上達はしないからね、なんでも大事なのは一個一個丁寧に。速さは後から付いてくるよ。」

裕子は無言で頷くと手に握った野菜をまた剥き始めた。

裕子に手伝って貰い昼食をしたくする。
実際の所、裕子が居た分逆に時間が掛かったのだがそこは仕方が無い。

「美味しい!」

裕子が一口食べて言う。

「うんうん、その言葉が聞きたいから頑張ってるんだよ。」
「昼からは明日からの仕込みや掃除をする予定だけど如何する?」
「手伝います!」
「じゃあ君には2階の廊下を頼むよ。」
「はい!」

裕子が二階を掃除している間厨房で明日以降のメニューの仕込みに入る。
既に1シーズン分の献立等は決まっているので、保存が利かないもの以外は全て保冷庫にある。
明日から手伝いにふもとの叔母さんが一人来てくれるので人手は十分。
それに裕子が今日のように頑張ってくれればかなり楽なくらいだろうが・・・まあそこは当てにすまい。

と、色々と計画を立てながら仕込みをやってると裕子が時折顔をだして、掃除用具や掃除の仕方を聞いてる。
それに指示を出し、また調理に戻る。
そんな事をしてると山は早々に日が沈み暗くなる。

「美味しい!!」

掃除を終えてクタクタの裕子が食事にかぶりつく。

「慣れないことして今日はかなり疲れたんじゃないかい?」
「ううん、なんか楽しい!お腹はへったけどw」

この調子が最後まで続けばいいのだが・・と思いつつも

「ソレはよかったw明日からも良かったら頼むよ。」
「はいw」

食事を終えて裕子を先に風呂に入れる。

「お風呂は露天風呂だよ、お客さんが宿泊してる間は、入れないから今日だけだけどね。」

シーズン以外は掃除などの手間の都合で使わず、シーズン中はお客優先なので私も含め従業員は専用のユニットバスを使う。

「凄く贅沢な気分w」

と裕子が風呂上りに出してあげたコーヒー牛乳を飲んで満足げに言う。

裕子の後、色々な片づけを終えて自分も露天風呂に入り、あがる頃にはもう21時を回っている。
ふと見ると先ほどまで広間でTVを見ていた裕子はソファーで眠っていた。
まあ、初日からあんだけはしゃげば疲れるわな・・・。

「ほら、自分の部屋に行って寝なさい。」
「うーん・・・。」

寝ぼけているのかノそっと起き上がり階段を上がっていく。
その背中にお休みと声をかけたが特に返事は無かった。
その後は広間で領収書等の整理をして自分も自室で寝ることに。
ベットに入り部屋の電気を消そうとした時だった。
トントン

「なんだい?」

部屋のドアをノックして裕子が顔をだした。

「あの・・・。」
「どうかした?」
「あの・・・一緒に寝て良いですか?」
「ええっ?!」
「あの・・・なんだか心細くて・・・。」

昼間とはうってかわってなんとも弱弱しい裕子に戸惑う。

「いや・・しかし・・・。」
「お願いおじさん・・・。」

なんとも悲痛な裕子の表情。
不味いと思いつつも断り難い空気。

「お願い・・・。」
「解った・・・君はベットで寝なさい私は床に布団をひくから。」
「えっ・・でも・・・。」
「ソレが嫌なら明日家に帰りなさい!」
「はい・・・。」

悲痛な眼をして裕子が頷く。

「いったい如何したんだい?一人で寝るのが怖い歳でもないだろう?」

布団に横になって天井を見つめながら聞いてみる。

「私もそう思ってたんだけど・・・急に一人が怖くなって・・・。」
「ココが嫌になった?」
「・・・。」

かすかに首を横にふるような気配がする。

「窓から見える夜の森って静かで・・・急に心細くなって・・・。おじさんはココで一人で寂しくないんですか?」

裕子が聞いてくる。

「うーん、たしかにまったく寂しくないといえば嘘になるね・・・。」
「女房が死んでもう2年になるけど・・・アイツもココでの暮らしが大好きだったし。」
「無くなったものも多いけれど、アイツとの思い出がここにはそれ以上に沢山あるからね。」
「思い出ですか?」
「うん、無くなったと思うより、残ったものが沢山あるって信じなきゃ・・・。生きてるって事は辛いだけになっちまうだろう?」
「私はそんな風には思えません・・・。」
「いいんじゃないかなそれで、寂しい時は寂しいってさ、人間らしいよ。」
「逃げ出す事も時にはありじゃないかな、逃げ道があるってのはまだ幸せってことだよ。」
「本当に不幸なのは、それが解らなくなる事だよ。」
「でも・・・逃げてばかりじゃ・・・。」
「勿論そうだね、いつかは逃げれなくなる。」
「そういう時如何すれば?」
「その答えはそれぞれ、その時々で違うんじゃないかな。ただ、生きてるってのは多分どんな形でも楽な事じゃないだろうね。お金持ちも貧乏な人も、やめる人も健康な人もみんな楽じゃないね。」
「じゃあどうして皆生きてるんですか?」
「楽じゃないから、どうせ楽じゃないなら少しでも楽しくなるように生きるしかないんだ。」
「自分の人生を楽しくするのは他人じゃない自分なんだ。自分の人生が辛くてつまらないのは、周りのせいじゃない常に自分のせいなんだ。常に自分自身が自分自身の人生をつまらなくしてる。女房が居なくなっても、僕がまだこうやってココに生きてるのは、そう思うからだよ。僕が寂しいくて辛いのは僕を残して死んだ女房のせいじゃない、僕のせいなんだよ。精一杯生きて死んだアイツに自分の人生の責任をかぶせて悲しむだけなんてしたくないんだ。」
「・・・私の人生がつまらないのは、虐めた子達じゃなくて・・・私のせいなのかな・・・。」
「自分の人生の楽しさや辛さの決定権をそんなやつ等に渡す事はないだろう?自分の人生は自分で決める、そいつ等に左右する権利なんか無い・・・だろ?」
「わからない・・・。」

溜息をつく裕子。

「まあ、今はそう思いつめないで、君にはどうやら時間が必要みたいだ。答えは急がないほうがいい。じっくり考えて、自分の生き方が少しでも良くなるような自分なりの答えを一つ一つ見つけていこうよ。」
「はい・・・。トシオおじさん・・・。」
「ん?」
「今日は話を聞いてくれてありがとう・・・おやすみなさい・・・。」
「おやすみっ・・・。」

裕子がベットから乗り出して頬にキスする。

「お礼です・・・。」

そういうと布団を被ってしまった。

「・・・。」

その後暫く年甲斐もなくドキドキして中々眠れなかった。
なにすんだよ・・明日早いんだが・・・。

つづく・・・か?

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