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離れ離れで育った双子の妹

  • Posted by: moe
  • 2012年8月10日 01:07
  • 姉妹

中学の時まで全然知らなかったが俺には双子の妹が居た。
何で知らなかったかと言うと、俺がまだ小さかった頃に両親が離婚。
父の方に俺、母の方に妹と言う形で離れ離れになった。
離婚後の両親の仲が親戚含めてすこぶる悪かったために、俺達はお互いの存在を知らされることなく育った。

知らされなかったもう一つの理由は、父親が資産家のボンボンで、母は離婚の際にそういった諸々の権利を放棄させられていたというのもある。
離婚の際に十分なお金は貰ったようだが、それ以上は息子の俺の事を含めて関係ないよという事らしい。
今では考えられないが昔の事だからそういう事もあったようだ。

俺と妹は小学校までそれぞれ違う地域で育って一面識もなかった。
ソレが変わったのは中学校から。
俺は父親の方針で私立の進学校に通うことになったんだが、妹も偶然その学校へ受験していたのだった。
そしてあろう事か僕等は同じクラスになった。

中学で初めて出会った妹は当然母の旧姓を名乗っていた。
妹の事は愚か当時の俺は母親の事すらロクに知らなかったために俺は全然気がつかなくて、1学期、2学期とずっとただのクラスメイトの女の子だと思っていた。
双子とは言え二卵性の男と女とくに似てるというほどの事もなかったのも原因だろう。

しかし、妹の方は最初の段階で

「もしかして・・。」

と何となく気がついていたらしい。
妹は小学生の頃に母親から双子の兄が居るという事は聞いていたらしい。
そして兄である俺の名前も聞いていたから、初日のホームルームでの自己紹介で既に確信を持っていたようだ。

学校が終わって帰るとき妹のマリは俺に声をかけようとした。
でも、まったく自分の事を妹だと認識していない俺の態度に名乗出る事を辞めたらしい。

1学期。
俺と妹のマリはお互い特に会話することなくクラスメイトをしていた。
しかし、時々だがふっと妹のマリと目が合う事があった。

2学期。
俺と妹はひょんな事から同じ係りになった。
2人で係りの仕事をするようになって良く話をするようになって、俺は実の妹とは知らず、マリとの会話に不思議な安心感を感じるようになっていた。

マリは賢く控えめで大人しい女の子で、どんな時も俺の下らない話を

「うん、うん。」

と聞いてくれた。
行動の端々に俺を思いやってくれているような優しさがあり、他の女の子に感じない安らぎのようなものを感じていた。
そして俺はマリのそういう態度に徐々に好意を抱き始める事になる・・・。
マリのその態度と俺との間に流れるその空気が、実は双子の兄妹ゆえのモノだと気がつくわけもなく、だ。

マリは自分の事は余り話したがらなかったが、彼女の家が貧乏なのはクラスでも周知のことだった。
成績が優秀な彼女のために、母親が私立に頑張って入学させてくれたようだ。
幸い貧乏でもマリは虐めにあうような事はなかった。
控えめだけど誰にでも親切で優しいマリは、どちらかといえば男子にも女子にも人気があった。

3学期俺とマリは益々親しくなっていた。
休み時間や放課後気がつくと2人でよく話していた。
クラスでも俺とマリが好きあっているという噂が影で流れていた様だ。
噂好きな女子の間では頻繁にその事でマリは質問攻めだったらしいけど、マリは少しだけ困った顔をして何も答えなかったそうだ。
俺はそんな話を聞いてマリが俺の事をどう思っているのか気になって仕方なかった。

けっして嫌われている事は無いはずだ。
むしろ俺のことが好きなのは絶対間違いない。
でも、この頃の俺が少しでも異性としての行動に踏み込もうとするとマリは急に壁を作ってしまう。

「こんなに毎日親しく話をしている関係なのに・・。」

俺が告白しようとするとマリはその空気を感じ取ったように話を逸らそうとする。
そして、ついに苛立った俺は強引にキスしようとしてマリに頬をはたかれた。

「マリも俺の事好きじゃないのか?」
「好きだけど・・でも違うの・・・私と洋介君は・・そういうのじゃないの・・・。」
「な、なんだよそれ!!どういう事だよ?!」

とても理不尽な気持ちだった。
マリも間違いなく俺の事を特別に好きで居てくれる確証があるのに、でも寸前の所で全部否定されてしまう・・・。
「・・・。」

マリはそれ以上聞いても理由を言う事なく、静かに泣き出してしまった。

俺は苛立ちを感じながらも困り果て、そして俺はマリと話をしなくなった。
目があっても無視し、マリが係りの仕事の話を持ってきても冷たく必要最低限の受け答えをするだけになった。
マリはそんな俺をいつだって寂しそうに見ていたと思う。
クラスの奴等も俺達が急に険悪になった事を気にしていたけれど、中学生に他人の異性問題をどうこうするような器量は無かった。

ある日の放課後、教室で帰りの用意をしているとマリが話しかけてきた。

「洋介君・・ちょっといい?」
「・・・。」

何時もの何故か安心するやさしいマリの声だった。

「あのね・・私転校する事になったの・・。」
「えっ!?なんだって?!」

マリの突然の報告に俺の心は大きく揺さぶられた。
あまりの事に五臓六腑がひっくり返るかと思った。

「なんでだよ?!」
「あのね・・。」

マリの家は前記の通り貧乏で、母親が一人で働いてマリをこの馬鹿高い学費の私立に通わせていた。
しかしその母親がガンで入院し働く事が出来ない上に、高い治療費が必要になった。
そこで学費のかからない公立に2年生から通うことにしたという事だった。

「私もこの学校に居られなくなるのは寂しいけど、でも、お母さんが一番悔しがってると思う・・・。」
「そうか・・・。」

全て理解した上で受け入れているマリの態度に俺は何も言えなかった。

「洋介君には話しておきたかったから・・・良かった・・。」
「ばいばい。」

そう言って教室を出て行こうとするマリを俺は思わず後ろから抱きしめていた。

「嫌だ!!マリとコレっきりなんて!!」
「洋ちゃん・・・。」

どうしようもない事は頭で解っていても、心がソレを頑なに拒んでいた。

「マリ、俺はお前の事が好きなんだ!!好きなんだよぉ!!!」

涙があふれた。
マリも泣いていた。

俺はマリの唇にキスした。
マリは最初少しだけ抵抗しようとしたけど、直ぐに思いなおしたように抵抗をやめて、ぎこちなく震えながらキスに応えた。
俺達は暫くそうやって抱き合っていたけど下校時間になって二人学校を後にした。
無言で2人、手を繋いで歩いているうちにマリの家である古いアパートの前についた。
マリはいつもの様にバイバイと別れを言わず繋いだ俺の手をアパートへ導いた。

初めて入るマリの家はとても質素だった。
俺とマリはベットの上で初めての経験をした。
マリは終始泣いていたが優しく導いてくれた。
俺も泣きながらマリを抱いた。
必死で抱き合った。
2人抱き合って俺はマリに言った。

「離れ離れになっても恋人だ。」

と。
でもマリはやっぱり何時もの悲しそうな目で静かに首をふった。
そして納得できない俺に真実を語った。

「洋介君と私は双子の兄妹なんだよ。」

と。
意味が解らなかった・・・。
何を言っているんだと怒りもした。
しかし真剣なマリの眼で嘘ではないと解った。
証拠も見せてくれた・・・。
父と母が仲がよかった頃2人でとった写真。
その2人に抱きかかえられている双子の兄妹。

「この写真は私と母の宝物なの。」

マリは嬉しそうに笑った。

マリは2年生になって直ぐに転校していった。
引越しはしていないから会いたくなったら何時でも会えた。
実際それから俺は何度もマリに会いに行ったし母とも再会した。
母のガンは幸い早期発見で大事に到らなかった。

「ごめんな洋ちゃん。」

涙ながらに病室で謝る母を今でもハッキリ覚えている。

しかし、俺が好きだったクラスメイトであるマリは、あの日、初めて体を重ねた日を最後に居なくなった。
今のマリはれっきとした双子の妹だ。
でも、あの日の事はけっして間違いなんかじゃなかったと思いたい・・・。

その後、俺達2人は成長してお互い普通に結婚した。
最初は色々な問題があったけど、今では名実ともに双子の兄妹として生活している。
お互いのパートナーが時々ヤキモチを焼くくらい仲が良い兄妹だ。

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