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お姉さんと僕 その1

  • Posted by: moe
  • 2012年6月20日 01:25
  • 初体験

高校に通うようになって3ヶ月ほど経った頃の事だったが、気付いた事がある。
クラスに時代遅れのヤンキー女がいるのである。
私立の高校なので校則では問題にならない程度なのだが、休み時間など実にヤンキーらしい態度をとっていた。

まず、気の弱そうなやつにパシリをさせる。自分の席ではないのに

「おいどけ。」

と命令し、勝手に席を占領する。

授業は一応全部出ており、中学生のようなやりたい放題が高校でも通用するとはさすがに思っていないようなのだが、実は逆に性質が悪い。
宿題をやってるやつから否応無しにノートを奪い勝手に写す。
もう死んでくれとクラス中が思ってるに違いない。

それが2人いるのである。
リーダー格の酒井順子。
ロングヘアーで整った顔立ちに時代遅れのヤンキーメイクをしており、言葉使いが悪く、目つきも悪い。
その子分のような形でいつも酒井の側にいる福沢美晴。
ショートカットでボーイッシュな感じというか、もうアレは男である。
喋り方がもう男の口調で、目がつり上がっており顔を見るだけで怖い。
胸の膨らみと体系はさすがに女のそれであり、むしろそれでかろうじて女だと判別可能な位である。

もう一人いた。
僕だ。
無理やり仲間にさせられたと言った方が正しいのだが、同じクラスになった時に目を付けられてしまったのである。
突然だが僕は昔からよく女に間違われる。
可愛い系ではなく、むしろ

「女なんだか男なんだか分かりにくい。」

という類の中世的顔立ちというのだろうか。
それなのである。

気が弱く、女に見えるという事で無理やり仲間にされてしまったのである。
放課後、買いたかったゲームソフトを買いに行こうと学校を出ようとした所、やはりというか、酒井順子につかまった。

「おい。勝手に帰るんじゃねーよ、武。」

武とは僕の事である。
キッとするどい眼差しを僕に向けた。
横にニヤニヤしている福沢もいる。

福沢はすかさず僕のわき腹に拳を叩き付けた。

「いたっ。」

僕がそう声を出すと福沢は僕の腕を両手でギュッと掴みながら、後ろから僕の肩にあごを乗せ、

「勝手に帰ったら寂しいでしょ。」

と息を吹きかけながら首筋をレロッと舐めた。

「うわっやめてよ気色悪い。」
「ああ?」

福沢にガンを飛ばされながら、今度は酒井が前から抱きついてきた。
いや、さば折りをされているというのが正しい。

「武ぃ、勝手に帰ったら私寂しくなっちゃうでしょ?ほらこんな風に。」

酒井はそう言うと、より一層僕の体を強く締め上げた。

「いたたた!!痛い痛い!!分かったから!!」
「いや、たけちゃん分かってない。」

今度は福沢が甘い声色を出しながら、腕を締め上げてきた。

「誰がたけちゃんですか!!いててて!!二人とも痛いって!!」

開放された後、僕の全身は悲鳴を上げていた。

正直嫌でしかた無いものの、ヤンキーと言えど女であり、いい匂いがした。
酒井は暴力的で、クラスから煙たがられているものの、それでもさっきみたいにくっ付かれると(さば折されてたんだが)スケベ心が湧き出てくるというのも男の性なのかもしれない。

福沢はもう、性格から行動から男顔負けでいつかヤンキー男とガチンコの殴り合いをやっていたのを見たが、むしろだからこそ、こいつが彼氏とか出来たら性格180度変わりそうだな、とか想像してそのギャップ萌えを想像していると急激に可愛く見えてこなくもない。

そんな事を二人に開放されてからボンヤリ考えていたのだが、相変わらず時代遅れのヤンキーメイクの酒井と拳に息を吹きかけながら

「もういっちょいっとく?」

とか言っている福沢を見て瞬時に現実に戻されていったのだった。

「なんですか今日は・・・僕用事があるんですけ・・・。」
「ああん!!!?」

福沢の拳が僕の耳の1ミリ横を通り過ぎた。

「い、いや・・なんでもないです・・・。」
「ついてきな。」

そう言われ僕は酒井と福沢に両手をがっちりホールドされたまま、どこかへ連行されていった。

「絶対に逃がさねえよ。」

と言わんばかりに両腕をガッチリホールドされ、まるで捕獲された宇宙人のような格好でどこかへ連れて行かれる僕。

これが普通の女の子だったらどんなに幸せだっただろうか。
どこかへ向かう途中、僕は自分のこれまでの生きてきた16年間を振り返っていた。
小学校ではクラスのイジメに徹底的に無関係なポジションで「我関せず」を決め込み、中学では運良く不良グループとは違うクラスになり、友達もそこそこで実に波風のない人生を送ってきた。

人間こんな事がずっと続いて行くと勝手に想像してしまうものだが、今の僕は一体なんであろうか。
生粋のヤンキー丸出し女に、性別間違えたんじゃねえの?と問いたくなる男女の仲間になっているのである。
しかも、色気も無い癖して、色気で僕をだまくらかしているつもりなのである。

先ほどの酒井によるさば折も、酒井は心の中では

「ほうら、女に接近されてドキドキするでしょう。」

とか考えてやがるに違いないのだ。
福沢も男みたいな癖して、腕を締め上げる時しきりに胸を押し付けてはニヤニヤしていた。

「ふふん!どうだい?私の胸は?」

とか考えている顔だったアレは。

エロ漫画でも読んで勉強してこいこのボケと心で呟いた僕だった。
あくまで心で。
実際に言うと怖いから。

突然だが、実際に僕に対して周りが抱く印象とかけ離れた性格だと自分ではよく思う事がある。
自分の人生に波風がたって欲しくないから、周りには当たり障りの無い事を言うものの心の中では正反対の事を思っていたりと言う事が良くある。

中学生の頃、家の近所に可愛い大学生がいた。
よく休みの日なんかに会うので一度挨拶した事があるのだが、その時のそのお姉さんの第一声はやっぱり、

「え?あなた男の子だったの?」

だった。
男以外の何者でもないだろこいつ!!とムカッと来たものの表面上は

「ああ、よく言われるんですよ。分かりづらい顔でしょ?」

とか言って話を合わせていた。
まだ声変わりがすんでいない頃の事で分かりにくかったかもしれないが。

それから、妙な事が起こるようになった。行く先々でそのお姉さんに会うのだ。
最初は偶然だなぁとか思っていたものの、次第につけられてるんじゃないかと思うようになった頃、夏休みのある日、両親が旅行で3日ほど留守番を任されていた僕は突然の訪問者によからぬ物を第六感でビンビン感じ取っていた。

「武くん・・・。」

挨拶した程度で、確か名前は名乗っていなかったハズだが・・・と怪訝な顔つきで僕が覗き込んだ先には、例のお姉さんの顔があった。
見るからに様子がおかしい。
不審者丸出しである。
しきりに目線を僕から外してはチラッと目を合わせるという行為を繰り返し、実に気色が悪い。

「お姉さん。何ですか?よく僕の家分かりましたね?」

と一見優しく(訳:何しに来たんだよ。なんで俺んち知ってんだよ)聞いたもののなんだがモジモジしており、告白のため体育館裏に呼び出した女の子みたいな感じである。

とりあえず

「上がってください。」

と中に招き入れると、お姉さんは

「お邪魔します・・・。」

とポツリと言った後、勝手に二階の僕の自室に向かっていった。
僕が

「二階が僕の部屋です。」

とは一切言っていないのにである。
無言で階段を上がってゆくお姉さんを見て、ゾクッと背筋が凍りついた感じがした。

初めて来た家で、一発で僕の部屋を当てたのである。
当てたと言うか、勝手に入って行ったんだが。
とりあえずこっちは男、あっちは女だし、何かあってもぶん殴れば勝てるよな、とか自分に言い聞かせつつとりあえずジュースを用意して二階に持って上がった。

ドアを開けた瞬間何か機敏な動きで何かをタンスに入れたお姉さんの姿があった。
まるでエロ本を読んでる時に急に家族に部屋に入ってこられ、高速でエロ本を隠したようなそんな感じである。

怪しい物を見るような顔つきの僕と、あくまでシラを切っているつもりらしいお姉さんが無言の妙な空間を作っていた。
さすがの僕も喋る気がせず、お姉さんと対面して妙な空気を保っていたのだが、かといってお姉さんは中々話を切り出さず、ひたすら僕が出したジュースをすすっていた。

(何なんだ・・・。挨拶をする程度で親しいわけでもないのに・・・。)

「武君・・・男の子なんだよね?」

やっと口を聞いたと思ったらそれである。
僕にとっては散々され続けた質問でウンザリ系の質問である。

「そうですけど何か?」

あからさまに、ムッとした態度でそう言った時だった。

「やだ・・・もう我慢できない!!」

お姉さんはそう言うと、ネズミを四つ角に追い詰めた猫のような目でガバッと僕に向かって飛んできた。
それがあらかじめ計算しつくしたかのような速度、正確さでおまけに僕の後ろにベッドがあったせいで、ベッドの上に吹き飛ばされる僕と、上に覆いかぶさってるお姉さんがいた。

「ちょ、ちょっと!!」

僕はそう言うと、とりあえず上にのしかかってるお姉さんを下からグイッと押しのけようとした。
しかし、マウントに近い形でのしかかられてる僕は思った以上に力が出なくて反対にお姉さんは、力任せに僕の腕を押しのけ、僕にキュッと隙間が無いくらいピタッと抱きついてこう言った。

「反則よぉ!!そんなの反則なんだからね!!ずるいよ武君!!」

意味不明である。
僕が反則だと言うのである。

正直オナニーさえした事の無かった僕にとって、この状況は興奮所では全く無く

「何かやばい事態になった!!」

という、むしろ身の危険を感じる事態だった。
何されるんだ?を頭の中で繰り返す僕。

力で引き剥がそうとするも上からガッチリ0距離で抱きつかれており、逃げようにも力が入らず、正に「窮鼠猫を噛めねえよ」状態である。

「そんな顔して反則だよ!!この卑怯者ぉ!!」
「お姉さん・・・。痛い・・・。」
「私だって心が痛いよぉ!!卑怯者!!反則技だよこんなの!!」

意味不明な言葉を繰り返すお姉さんに狂気を感じた瞬間だった。

しばらく「卑怯者、反則」を繰り返していたお姉さん。
少し補足すると密着状態での顔の位置関係は僕の顔の左部分、つまり左肩の上部分にお姉さんの顔がある形である。しばらくその状態で、お姉さんは動く気配は無かった。
密着していて暑苦しいのだが、次第にある一つの事が僕の精神を狂わせていった。

それはお姉さんの心臓の鼓動である。

お姉さんが次第に喋らなくなり、僕の部屋に妙な沈黙が訪れていたのだが、密着した肌を通して、お姉さんの心臓の鼓動が伝わってきた。

ドクンドクンドクンドクンと信じられないくらい高速で音と振動を僕に伝えるお姉さんの心臓。
こんなに速い心臓の鼓動を感じたのは初めてである。次第にシーンとした静寂とお姉さんの心臓の鼓動が僕の頭の中をかき回していった。

あまりにもバクバク音を立てるお姉さんの心臓。肌を通して直接僕の体に伝わる鼓動。
一度も経験したことのない、お姉さんの心臓の鼓動が段々僕に移ってきた。
お姉さんと一緒に、徐々に僕の心臓も速く鼓動してゆく。

それはお姉さんの心臓が、僕の心臓に

「一緒にドクンドクンしようよ。」

と誘いかけて来る様だった。
顔が熱くなってきた。
心臓の鼓動はどんどん速くなってゆく。
次第にお姉さんの心臓と僕の心臓が一つになった感じがした。

頭がボーっとする。
正常じゃない。
変な感覚だ。
メダパニでもかけられたかのような感覚だ。
リンクした僕とお姉さんの心臓の鼓動が速く大きく一つになるにしたがって脳がお姉さんの事を好きだと勘違いを起こしてきた。

お姉さんと離れたくない。
ずっとこの心音を感じていたい。
僕はそう感じ始めていた。
30分はそうしていただろうか。
お姉さんはギュッと僕を抱きしめたまま動こうとしなかった。
でも、それがいつしか心地良く感じていた。

お姉さんが突然顔を上げた。
体はピッタリくっ付けたまま、僕の顔の左にうずめていた顔をゆっくりあげ、僕の顔の正面に持ってきた。
鼻と鼻がくっ付く。
お姉さんの荒い息使いが僕の口にふうっと当たった。
顔が近すぎる。

お姉さんは両手で僕の顔を挟んで鼻と鼻をくっつけ、じっと僕の目を見つめていた。
お姉さんの心臓の鼓動がより一層早くなった気がした。
お姉さんは僕の目を見つめながら、心臓の鼓動を楽しんでいるようだった。
僕が目線をそらすとお姉さんは、あからさまに不機嫌そうな顔つきでぐいっと両手で顔を正面にむけさせ、僕とお姉さんの目線を交差させる事を強要した。

お姉さんは次第に眉を八の字にしながら、目を細め、何かに耐えるような表情をしていた。
お姉さんの心臓の爆音と交差する目線で僕は気が変になりそうだった。

「あ・・・もうちょっと・・・もうちょっとで・・・。」

お姉さんはそう言うと目線を不意にそらし、ギュッと目を瞑ると口を近づけてきた。
ゆっくりと近付いてくるお姉さんの唇。
僕はキスをするんだと察した。

しかし。

お姉さんはあと5ミリ、いや、1ミリ近づければ口と口が当たるという位置で止まりキスをしようとはしなかった。
僕はギュッとお姉さんの両手で顔を固定されており全く動かす事は出来ない。
口と口と近すぎる。
1ミリくらいしかないんじゃないのか。

でも決して当たっていない。
お姉さんも目が一層至近距離に来る。
お姉さんの口から息が漏れ、僕の口の中に入ってゆく。

お姉さんはハァハァいいながら、息を僕の口の中に入れていった。
お姉さんの息遣いが脳に響く。
恐らく、はたから見たら僕とお姉さんはキスしてるように見えるのだろうが、実際は口は当たっていないのである。
超至近距離にあるだけだ。

お姉さんの顔がとても大きく見える。肌のうぶ毛が見える位近いお姉さんの顔。
お姉さんは僕の中に息を吹き込む度に密着した全身をブルッと震わせ。
嬉しそうにニヤッと笑った。
そして僕が吐いた息をお姉さんは口から口へ吸い取っていた。

お姉さんの鼻からわずかに漏れる鼻息がこそばゆい。
僕は普通に息を吐いたり吸ったりしてるだけなのだが、お姉さんは僕の口に口を近付け僕が息を吐くと、お姉さんはそれを吸い、僕が息を吸うとお姉さんはそれに合わせて自分の息を僕の中に吹き込んで吸わせた。

息の交換である。

一瞬ゾワッとしたものの、次第に脳がボーっとしてくる。
お姉さんの息が美味しい。
もっとお姉さんの息が欲しい。
お姉さんの甘い息が吸いたい。
お姉さんも僕の息を吸いたいらしく、僕が息を吐く時は目を細めてトローンとした顔で吸っていた。

心音が僕もお姉さんも通常の2、3倍のスピードでバクバク言っていた。

さすがに僕は自分の体の変化に気付いていた。
お姉さんと離れたくない。
ずっとこうしていたい。目の前の唇に吸い付きたい。

僕のチンポはガチガチに固くなっていた。

「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」

お姉さんが全身をビクビク痙攣させながら、突如声を漏らした。
僕は何が起こったのか正直分からなかった。
シーンと静まった僕の部屋で、良く考えると変態行為以外の何物でもない行為をやっていたのだがお姉さんは何度か僕の息を吸い込んだ瞬間、目をギュッと瞑り、眉を八の字にゆがめ、何かに耐えているような表情で声を漏らすと、より一層僕の全身をきつく抱きしめ、全身をビクンビクンと痙攣させていた。

お姉さんの心臓の鼓動が尋常じゃない。
バクバクバクバクと信じられないようなスピードで動いている。
お姉さんの体から伝わるそういった数々の異変が僕は怖くなった。

心臓麻痺か何か起こしたのかとか、何か持病でも持ってて、それが出たんじゃないかとかそんな事を考えている内にとてもお姉さんの事が心配になってきた。

「お姉さん・・・大丈夫・・・?苦しいの?」

声を出した時、予想以上に自分の声が上ずっている事に自分でビックリした。
心臓がお姉さんと同期してバクバクいっているため、うまく喋る事ができない。

お姉さんは僕の問いかけに一瞬ビクッと体を震わせると、さらに体を締め付けてきた。

「意地でも放さないぞ。」

といわんばかりである。
そしてわずかではあるが、次第にお姉さんの心音も、痙攣も収まってきていた。

「大丈夫よ武君・・・もうちょっと待って・・・。」

お姉さんはそう言った。
しかし、僕はお姉さんのかけた魔法から急激に覚めていった。
お姉さんの体が正常に戻っている事を肌で実感した瞬間、まるでオナニーを終えた後の男のように、急激に冷静になっていった。

何か余韻に浸っている感じがするお姉さん。
少しづつ僕は、お姉さんが僕を抱きしめる力加減が弱まっている事に気付いた。
ガッシリホールドされている腕をもぞもぞ動かすと、かろうじて動くようだ。

突然だが、金縛りにあった事が皆さんはあるだろうか。
あれが怖いのは、脳がはっきりしているのに体が全く動かないという状況である。
あれから脱出する事は非常に困難だが、実は僕は独自にその脱出方法を編み出していた。

まず、一旦冷静になり体を動かそうとする意思を無くす。
そして頭の中に0~100までのゲージをイメージし、10秒ほどゲージを100にするくらいの力を溜め込む。

そして、一気にゲージを100にする力を解放するイメージを浮かべながら

「ほりゃああああ!!!!」

と叫びながら急激に起き上がるのである。
この方法によって僕は金縛りから脱出できる事に気付いた。

僕はお姉さんに抱きしめられつつ、その事を思い出していた。
お姉さんのホールドの力加減を確認する。
いける!!

「・・・。」

急に力を抜く僕。

「武君・・・?」

密着状態のため、体の変化は手に取るように分かる。
お姉さんは僕が急激に力を抜いた事を敏感に察知したようだ。
僕は力を抜いた体でボンヤリと横山光輝の三国志を思い出していた。

「竜が湖(だったかな)に潜むのは何のため?いずれ時機を見て天に昇らんがためであろう。」

そうですよね劉備さん。
わかるよ。
僕の中の竜が今天に昇らんとしていた。

「ほりゃあああああ!!」
「うわあ!!」

僕の奇声と共にお姉さんの体がふわっと宙に浮き上がった。
その瞬間僕は右に体を回転させお姉さんの体は今は何も無い空間にドサッと着地した。

お姉さんの瞳がすかさず僕の方にキッと向けられた。
僕はすかさずベットから退いた。
そこにコンマ何秒かの差で飛び掛ってくるお姉さんの体があった。

お姉さんと僕の間で火花が飛び散っていた。

しかし、冷静になって考えてみると、お姉さんの目的は一体何なのだろうか。
僕の事が好きなのだろうか。
それにしたってまず口で言うべきであろう。
いきなりハンターするとは何事か。

お姉さんの体の感触と、ひと時の異常体験がお姉さんに対して好意を持たせてしまったのも事実で、恐怖と好意の狭間で僕の思考は揺れていた。
お姉さんの好意には何か理由があるにしろ我を忘れてしまっている事は確かである。

僕に体を跳ね飛ばされ、自分の存在が否定されたかのような気持ちになっているのだろう。
これは怖い。
一方的な気持ちであると自覚してしてしまった人間と言うのは、時折信じられないような事をしてしまうものである。

お姉さんにベッドに押さえつけられて、ゆうに1時間は経っている。
お姉さんは僕を支配してる感覚だったはずだ。
しかし、突如として拒否されたお姉さん。
僕はただ逃げたかっただけで、お姉さんは別に嫌いじゃないが、本人はそうは思っていまい。
野獣のような目を僕に向け、綺麗な顔を醜く歪めていた。

そこでピーンときた。
お姉さんは受け入れられないと感じてしまった自分の気持ちを暴走させている。
それをうまく収めるアイデアが浮かんだのだ。

名づけて「むつごろうさん作戦」である。

お姉さんはジリジリと僕の方に無言でにじみ寄って来ていた。
一瞬の隙をついて僕はお姉さんの懐に間をつめた。
突然の出来事に目を見開いたお姉さんの表情がみえる。

すかさず僕はギュッとお姉さんの体を抱きしめた。
腕ごと抱きしめる形で、お姉さんには何もさせない。
そして僕はこう言った。

「お姉さん。大丈夫だよ。僕はお姉さんの味方だから。ほらよしよし。」

そう言いつつ、僕はゆっくりとお姉さんの後頭部を何度も撫でた。

「大丈夫だよ。興奮しないで。よしよし落ち着いて。僕は逃げないから。僕はお姉さんの物だからね。ほ~らよしよし。大きく深呼吸するんだ。一回落ち着こうよ。」

僕はそうなだめながらお姉さんの顔を見た。
キョトンとした呆けた表情のお姉さんがいた。

「本当に武君は私の物?」

しかし、お姉さんが食いついたのはその部分だけだったらしい。
半信半疑な感情を持ちつつも、自分の気持ちが受け入れられたと感じたお姉さんは、次第に目に涙を浮かべ、ヒックヒックと泣きはじめた。

僕はお姉さんが泣き止むのをずっと待った。

「冷静に考えるとすごい事しちゃったね私・・・。」

今頃冷静になったのかよ、と心の中で突っ込みつつ、僕はお姉さんの第一声を聞いた。

「お姉さん。僕は味方ですから。お姉さんの事も好きですし、冷静に訳を話してください。」

お姉さんの味方だよ作戦を実行しつつ、お姉さんの話を引き出すため優しくそう促した。
お姉さんは下を向いてうつむいたままだったものの、次第にゆっくり顔を上げ僕の手を両手で握り締めて話し出した。

「私レズなんです・・・。」

はい?

「昔から女の子が好きで好きでたまらなかった。でもそれが間違いだって事も分かってるんです。心も体も女の子が欲しくてたまらないのに、一方でこんなんじゃ将来普通の恋愛も結婚もできないなって思う自分もいて、どうしていいか分からなかったんです。」

はい?

「そんな時に武君に会って、明らかに女の子みたいな顔なのに本当は男の子で、頭がこんがらがってきたんです。それからずっと武君の事ばっかり考えるようになって、男の子でも、ああいう女の子みたいな子ならアリかなあとか想像しちゃって。」

そ、そんな事を考えていたのか。男だけど女みたいだからレズの私でもアリかな?
なんじゃそりゃあ!!
ディープすぎるだろ常識的に考えて・・・。

「武君とならいいかなあって。私に抵抗感を感じさせず、女にしてくれてゆくゆくは普通の男が好きな女の子に戻してくれそうだなあって。そう考え始めてから武君が欲しくてたまらなくなって。」

オナニーさえした事の無い俺にそんな事を言われても。

「お願い!!私を助けて!!私を普通の女の子に戻して!!武君じゃなきゃ無理なの!!さっきベッドで時間をかけて私確かめたの。武君男なのに全然嫌じゃないって。むしろ大好きだなあって感じたの。おまけに・・・・その・・・いっちゃったし・・・。」

いっちゃったってどこに。
まあ、確かにお姉さんに抱きしめられている時は怖かった反面、気持ちよかった。
脳が変になっちゃったし。

しかし、普通の女の子に戻してって言われてもどうすればいいんだか。
もともと女だろう。女を女にしてって言われてもなぁ。

「いいですけど、別に何も特技とかありませんよ僕。」
「ふふ・・・大丈夫。これがあれば!!」

お姉さんはそういうと僕の股間に手を伸ばし、まだ硬さを幾分か残していた僕のチンポをギュッと握り締めた。

「うわあ!!何するんですか!!」
「やっぱ男の子なんだあ。信じられないそんな女の子みたいな顔して・・。」
「そういう事言わないでくれませんか!!男なんですから!!」
「反則よこんなの。いいとこ取りしすぎじゃないの。女の子にチンポ付けたみたいじゃない・・・。」

お姉さんはそうブツブツ言いながら僕のチンポを握り締めていた。

「一度落ち着いてくださいって!僕はお姉さんの味方だって言ってるでしょう!!」

女が男のチンポを積極的に握ってくるなど想像しようも無い僕は、とりあえずお姉さんを冷静にする事を心がけ、とりあえずチンポを握っている手を放させた。

「前から思ってましたけどねえ、物には順序って物があるでしょう!いきなり飛びついてきたりいきなりチンポ掴んだり!!それにね、お姉さん大学生でしょ!!僕は中学生ですよ!!年の差ってもんがあるでしょ!!」

口からマシンガンのように言葉が出てくる。
そこで、はっと気付いた。「お姉さんの味方だよ作戦」が台無しだ。
お姉さんの顔が悲しみの表情に変わってゆく。

「だ、だからですね、何度も言ってるように僕はお姉さんの味方なんですから、色々順序ってもんをですね・・・。」
「本当に私の味方?」
「ええ。だからですね、いきなり飛びつかなくていいんですって。お姉さんを拒否しませんから。全てを受け入れますから。」
「・・・。」

そう僕が告げるとお姉さんの頬がポッと紅く染まった。
今何か企んだな。

「私はね、女の子しか好きになれないの。自分がよく分かってる。でもそれを治したいって思うのも本当。武君は私を正常な女の子に戻してくれる唯一の男の子なの。」
「はぁ。それは何となく分かりましたけど、僕に正常な女の子に戻して欲しいって言われてもですね、正直何をしていいやらさっぱり分からないんですけど・・・。」
「ショック療法しかないんじゃないかと思うの。普通の男の子はまだ抵抗あるけど、武君は女にしか見えないしでもチンポあるし、私の体に男の体を少しづつ刻みこんでほしいの。」
「チンポは男なんだからありますよそりゃあ。だから、男の体を刻み込むって何を・・・何かエッチな事ですかもしかして。」
「・・・。」

お姉さんは少し沈黙した後持ってきた自分のカバンから何かを取り出した。
ペットボトルのジュースである。

「のど渇いてない?」
「はぁ?」
「色々暑苦しいことしちゃったし、のど渇いたでしょ。ほら飲みなって。」
「はあ。まあもらいますけど。」

お姉さんは何故か僕がジュースを飲むのをずっと見つめていた。
この時何の疑いも持たなかった僕は馬鹿としか言いようが無い。

「あ・・・何だ体がうまくうごかな・・・。」

お姉さんはニヤリと笑うと僕の方に近付いてきた。
そしてキュッと抱きしめると

「ごめんね武君。武君は味方だって言ってくれたけど、このやり方が一番だと思うの。安心して。体に害は無いから。ちょっと動けなくなるだけ。」
「何をの・・・飲ませたんですかぁ・・・。」
「ふふっ。」

お姉さんの顔が動けない僕に向かって近付いてきた。
やばい。本当に抵抗できない。
脳裏に恐怖が芽生えたその瞬間、僕の唇にお姉さんの唇が重なった。

(あ、キスを・・・。)

初めてキスというものを体感した僕だった。
しかし、お姉さんにとってのキスはこんなものじゃなかった。
テレビでよく見るキスというのは口と口をチュッとやってそれで終わりというのが大半で、僕にとってもキスはそんな印象でしかなかった。
しかし、お姉さんは目を細めながら口を僕と重ねた後、全く動こうとしない。

お姉さんと僕 その2に続く

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